クループ症候群は、喉頭・声帯が主にウイルス感染によって引き起こされる冬場によく見られる病気です。
症状としては、最初に風邪のような症状がしばらく続いた後、突然の吸気性呼吸困難(息を吸うことができず、さらに息を吸うときにゼイゼイという音がします。喘息の場合であれば、息を吐くときにゼイゼイという音がする)と吸気性喘鳴(鋭いヒーヒーという息の漏れる音)、さらにクループ症候群の特徴である犬吠様咳嗽(ケンケンという咳)というものがあります。特に、このケンケンという咳はとても特徴的なので、初めて聞いても明らかに普通の咳ではないということが分かるかと思います。また、炎症が声帯にまで広がっていれば声はかすれ声となります。他の特徴としては、呼吸困難によるチアノーゼや夜間に悪化するといったものがあります。
クループ症候群の原因の大部分はパラインフルエンザウイルスというウイルスによるものです。安静にしているだけで治ることもありますが、素人目線で判断せず、必ず病院へ行きましょう。治療としては、喉頭の腫れを引かせることを目的としています。具体的には、ステロイドの内服や注射、アドレナリン(エピネフリン)の吸引を行います。しかし、呼吸困難が強い場合や咳が止まらないといったように症状が重い場合は、入院が必要になるケースもあります。
家庭における治療は、赤ちゃんの安静を第一とします。部屋の環境は、乾燥した空気を吸わせないように、十分に加湿を行います。また、ちょっとした刺激で咳込んでしまうので、何か匂いのつよいものや刺激の強いものは除くようにします。呼吸困難も伴っているので、座らせるなどして呼吸が楽な姿勢をとらせてやることも重要です。また、寝かせる際にはクッションを背中に置くなどして楽な姿勢をとらせてやります。そして、なにより赤ちゃんを興奮させないことが重要です。大泣きしてしまった場合には、腫れがひどくなり症状が悪化します。
予防に関してですが、原因の一つであるインフルエンザ菌b型(Hib)については、予防接種があります。しかし、やはり大事なのは日々の予防です。クループ症候群は結果的な症状なので、きちんとした予防をしていれば発症率はとても低くなります。
もし万が一赤ちゃんがクループ症候群になってしまった場合も、適切な処置で改善するものなので、クループ症候群の疑いがある場合、すぐに医師の診断を受けることが重要です。