38度以上の高熱を伴い、耳下腺が腫れる病気である流行性耳下腺炎、通称おたふく風邪。ですが実はこの病気を赤ちゃんが発症することはありません。正確には、赤ちゃんの時におたふく風邪に感染しても、症状がでないまま抗体ができて治ってしまうのです。
しかし、だからといって赤ちゃんはなんともないというわけではありません。唾液の分泌の際痛みを感じて泣いてしまうという程度ですが、もし赤ちゃんがおたふく風邪にかかってしまった場合には、なるべく唾液の分泌を促すような食べ物は与えないようにして、できるだけ安静にし、適当な水分補給をさせてあげるようにします。例えば、熱いものや酸っぱいもの、刺激の強いもの等は与えないようにします。また、母乳を飲んでいる赤ちゃんは口を動かすことにより痛みを感じてしまうので、休み休み母乳を飲むことになります。母親にとってはストレスとなってしまうかもしれませんが、赤ちゃんが休んでいるときに一緒に休むなどすることでうまく付き合っていけると思います。
また、1歳以上の子になるとおたふく風邪にかかりやすくなりますが、1歳からはおたふく風邪の予防接種が受けられるようになります。歳を取るにつれて症状が重くなる病気なので、早めに予防接種を受けておくことが大切です。ただし、予防接種を受けていたとしてもかからないというわけではありません。症状が軽くなるとはいえ、おたふく風邪に変わりはないのできちんと医師の診断を受けるようにしましょう。
また、おたふく風邪は感染力がとてもつよく、接触感染で他の子にうつされたりする可能性があります。おたふく風邪にかかってしまった場合には、おとなしく安静にさせておく必要があります。家族がおたふく風邪にかかっている場合も、気を付けなければなりません。例え赤ちゃんの時は主だった症状がでないものだとしても、積極的な接触は避けるべきです。
おたふく風邪に関しては特別な治療法というものがありません。これは、おたふく風邪の原因であるムンプスウイルスに対する薬がないというのがその理由です。おたふく風邪は、1歳から12歳の間までにかかることがほとんどですが、思春期以降に発症すると合併症を伴って重症化します。子どもにつらい思いをさせないために、おたふく風邪の免疫がつくれなかった子どもに対しては、きちんと予防接種をすることが大切です。